演出家コメント

「はたして三毛子は?男子の癒しか、女子の味方か?」 演出 神尾憲一

原作「吾輩は猫である」をモチーフに広がる『三毛子』。この女たちの世界は、男の僕には計り知れないものを垣間見せてくれた。
ものすごく端的にいえば、女は皆面食い。例えば恋愛で痛い目に合ったとして、今後は性格重視とか言うものの、性格のいい男をモノにしてみれば、あなた優しすぎるとか言いだす・・・様な気がする。男から見て。

さて、我らが男子の味方、夏目漱石先生はと言えば、「吾輩は猫である」を通しての鋭い人間観察力を発揮して、おお人間とはなんぞやと。こんなにも人生は滑稽なのかと。痛快です。さすが!とざっと読めば気持ち良くもなれますが、しかし。深いのか浅いのか三毛子に癒されに行く、名前の無い黒猫は、まあだらしなくもあり、哀れ。これは夏目先生なのか?結局男(オス)は、癒しを求めてさまようのである。

この癒すという女の不思議な能力はどこから来るのか?その時代、女たちは何を考えていたのか。調べてみれば女は、女性解放運動や母性保護論争などをしていた。
未だ男社会と言われる中、100年前の女はすでにもの言う婦人であったのか。
特に母性保護論争は、いったい何だったのか。どうやら猫の三毛子には全然わからないらしいし。それでは、せっかくだから、その中心人物。与謝野晶子、平塚らいてうのお二方に三毛子と一緒に暮らしていただこう。そして何が見えてくるのか、三毛子に語っていただこう。

私ごとですが、この度の再演に向けて、諸先生方に、さらに詳しく取材させていただきました!沢山のアドバイス、ダメ出し、感謝しております。そしてお客様のアンケートも大変参考になりました。皆さんありがとうございます。知れば知るほど面白い『新しい女たち』。僕はその女の世界にすっかり飲みこまれているのである。

はたして三毛子は?男子の癒しか、女子の味方か?